こんにちは。酒井美里です。
この記事では「はじめて特許調査を外部に依頼しようと考えている」向けに、企業知財部で、調査を依頼する側だった経験も踏まえて
- 調査会社のさがし方
- 相性のいい調査会社(調査担当)
- 調査を頼むには、どんな情報を伝えれば良いか
をまとめました。
調査会社のさがし方
調査会社を探すには次のような方法があります。
- ネット検索で探す (Google、Yahoo!など)
- 特許庁のリンク集(特許情報提供事業者リスト集)で探す
- 特許事務所に紹介してもらう
- 各都道府県の発明協会・発明相談などで聞いてみる
- 知財業界内のツテ・口コミで探す
- 毎年秋開催の「特許・情報フェア&コンファレンス」で情報収集
- Japio Yearbookのシステム/サービス紹介で探す
- 発明推進協会、各種データベースベンダー等の講師に聞いてみる
特許庁のリンク集や、Japio Yearbookは色々な調査会社が網羅されていて、一気に探しやすい反面、「自分(自社)と相性の良い調査会社はどこ?」という点で迷う場合もあるかもしれません。
個人的には、知財業界内の口コミで聞けると有力な情報が手に入るのに、とは思いますが、実際のところ、良い調査会社を抱えているほど、同業他社には教えない(教えられない)ものかもしれません。
業種が異なれば、教えてもらえる可能性は出てきますが、その場合は、技術分野がマッチングしない事も…
上記を踏まえると「特許事務所からの紹介」は
- 特許事務所が実力を評価している/調査者の人柄を知っている
- 技術分野を考慮した紹介をお願いできる
という点が期待できそうです。
弊社も、ご依頼いただくきっかけとしては特許事務所からご紹介いただくケースも多いです。
また、企業知財部在職中の経験では、「研修講師の先生に、調査依頼可能かどうか聞く」のも有効でした。
研修を聴講することによって、調査に対する考え方や知識・経験、人当たり、気軽に相談できそう…?といった事を確認できるのが良かったです。
私、酒井も講師席に立たせて頂いております。(最新のスケジュールはこちら)
ぜひ、どんなサーチャーなのか、確認にお越しくださいね。
相性のいい調査会社(調査担当)
企業知財で、調査依頼していた側の経験と、調査会社でお問合せを頂く側、両方の経験からみて、「相性」というと
1)自社技術分野の知識・経験があるか
2)良い調査をしてくれるか
3)コミュニケーションが取りやすいか
等の要素が大きいように感じます。
以下、個人的な考えを述べます。
- 1)自社技術分野の知識・経験があるか
-
やはり、技術分野を気にされる方は比較的多いですが、私は「調査目的」によるところが大きいかな、と感じます。
これは調査をする立場から、思うことなのですがある程度経験のある検索者(サーチャー)であれば「電気分野だけ」とか「化学専門」という方は少数派で、比較的広い技術分野をサーチできる方が多いです。
- 技術分野の知識はあるが、サーチ経験が少ない のと
- サーチ経験が豊富だが、技術分野の知識は少ない のであれば
断言はできませんが、後者の方が「良い検索」はできると思います。
ただ、良い検索=良い調査、か?というとここが「調査目的」によるのかな、と思っていまして、例えば「検索の後に、公報を読み込んで分析する」事を重視するなら、技術に詳しい担当者が良い、という事かもしれません。
でも「母集団だけ優秀なサーチャーに作成させ、公報の読み込みは社内技術者に任せる」方法を取ると、費用も抑えられ、技術者の勉強になるかもしれませんね。
結論的にはワークフロー全体を考えて、技術知識が必要か?サーチ能力を優先するか?と考えると良いのかな?と思います。
- 2)良い調査をしてくれるか
-
上記の話とも関連しますが、サーチ能力が高いのは当然として、
- ワークフローや業務分担を考えて、複数の方法を考えてくれる
- 予算内でベストの調査方法を組み立てられる
- 企業実務の実態や業界特性を理解してくれる
- 報告書がわかりやすい
なども、良い調査に含まれるかと思います。
たとえばこれは、代行検索ではなくSDI(定期監視)の検索式を作成する例ですが
安心、安全のため、と広い検索式を提案してくれた。
しかし、毎週の配信件数が多くなりすぎて、活動が定着しない。場合と
誰が公報を読むのか?業務フローはどうか?出張が多い職場ではないか?公報を読み慣れていない担当者ではないか?等を確認して「1~2週間出張に出て、公報が溜まってしまってもリカバリーが利くような検索条件」を提案してくれた。結果、SDIの運用が続くようになった。
場合、の違いをイメージして頂くと、わかりやすいかと思います。
つまり「検索だけ」ではなくて、「業務全体がうまくいく調査」を考えてくれる人か?に注目するのがおすすめです。
- 3)コミュニケーションが取りやすいか
-
上記1や2から、やはり「コミュニケーション」が大切だと思います。
ただ、コミュニケーションスタイルは色々ですし、もちろん、人間同士の相性もありますよね。
たとえば静かで落ち着いた担当者がいいとか、明るく話しやすい担当がいいなといった違い。
これは「良し悪し」ではないですよね。
その点では、何かの面識があると、コミュニケーションは取りやすいかもしれません。
たとえば私の場合だと・・・
動画や配信を見ていただくとか、ご都合が合えばzoom会に参加頂くとコミュニケーションが取りやすいかどうか、こっそり事前確認して頂けます。
各種スケジュールはこちらをご確認ください。
どんな情報が必要?
全く初めての調査依頼でしたら、このような物をご用意ください。(あるものだけで大丈夫です)
- 商品やサービスを説明する図、または文章 (手書きなどで大丈夫です)
- 商品や試作品の現物、または画像
- ビジネス的に「今、何をしたいか」教えてください(メールでも口頭でもOK)
ソフトウエアだと「現物」がない、とか化学的な組成物だと「見た目ではわからない」という事もあり得ます。
その場合は、技術説明だけで大丈夫です!
現物がある場合、特に「動き」があるものは、現物を拝見できると助かります!
それで侵害予防調査、とか、出願前、とか、調査の種類を言った方が良いですか?と質問頂く時があるのですが、調査の種類はわからなくても、あまり問題ないです。
と言いますか、初めての特許調査を検討される方で、もうすぐ商品発売!特許って侵害したらマズいんだよね?でも、特許出願もしておいた方が良いんだよね?…どこから手を付けたら?となって、グルグルしている方、時々お見掛けします。
そこで迷っていると、あっという間に1週間や2週間、経ってしまうのもよくある話です。
そうなるくらいなら、「もうすぐ商品を売る予定で、特許調べなきゃな、と思っているんですが。」と、お声がけ頂いた方が、断然スムーズです。